毎日練習で使う野球スパイクに満足していますか?スパイクを新たに購入せずにトラブル解決に役立つのは野球用インソールです。パフォーマンス向上から治療用のものまで数多くの種類が出回り、きっとあなたに合った野球用インソールが見つかりますよ。あなたに必要なインソールのスペックを分析し、足元に革命を起こしましょう。
野球用インソールってなぜ靴に入っているの?
「中敷き」「足底板」など様々な呼び方をされるインソールですが、なぜ靴の中に入れる必要があるのか?また素材は何でできているのかなど、インソールについてご紹介します。
インソールとは
インソールとは靴の中で「ミッドソール」と呼ばれる部分の上に置かれるソールのことを言います。もともとの役割は、このミッドソールとアッパーの接合部分に足が直接当たらないようにするために入れられました(「アッパー」とは足の甲など上部を覆う革のことです)。
始めは足を保護することが目的だったため、特に素材や形にこだわりがあったわけではなく、軽量性に特化されていました。
野球のスパイクはポイント部分が土に深く刺さることで強く蹴りだすことができる反面、足への負担が大きいことが昔より問題視されていました。そこで開発されたのが現在使われているインソールです。
かかとを安定させたり、クッション性を高めることでより機能性を向上させることに成功しました。他には、足が痛い人のために治療用インソールなども開発されています。
素材
- EVAスポンジ
- TPU
- 独自素材・加工技術
EVAとは「Ethylene-Vinyl Acetate」の略で、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂のことをいいます。ポリエチレンより柔軟性と反発性があり、「熱可塑性合成樹脂」のひとつです。硬度が10〜75度のものを指し、主な使用用途は防護材やマットなどです。
TPUとは「Thermoplastic Polyurethane」の略で熱可塑性のポリウレタンのことです。加工がしやすく「ウレタン樹脂」とも呼ばれ、プラスチックの一種です。弾力性があり、柔らかいのが特徴でスマートフォンのケースに加工することも可能です。
この他にも、各社の研究により独自開発されたクッション材・加工技術・コーティング剤などがあります。スパイクの中で足が安定することで、カラダの軸はブレなくなり体幹は安定します。
そして体幹の安定はプレーに強さを生み出し、スピードやパワー、テクニックの成長に繋がります。さらに、現在のインソールは足裏を中心とした疲労軽減にも役立ち、長時間の練習を可能にします。
打撃・走塁・守備のすべてにおいてインソールは貢献することができるのです。
足の構造アーチは3種類
足には、体重を支えるために構造上、湾曲した「アーチ」という部分が存在します。3つあるアーチの中でも最も注目されるのが、土踏まずを形成する「内側アーチ」です。
なお、「アーチ」という名前の由来はローマにあります。アーチ構造は、古代ローマ帝国の時代より建築に使われていた、革新的技術のひとつです。
柱と梁の重さにより、圧縮力を高めて大きな力にも耐えられる構造になっています。足も大きな衝撃に耐えるために「アーチ構造」をしているわけです。
またアーチには、ウィンドラスメカニズムという反発効果も備えています。足の衝撃で潰した土踏まずを蹴りだしのときのエネルギーに再利用し、またアーチを形成するというものです。足の着地から蹴りだしまで利用するアーチはまさに動くうえでかかせないポイントになります。
人間が走るときに足裏にかかる衝撃は体重の数倍の重さだと言われています。この衝撃をやわらげているのが「アーチ」です。
つまりこのアーチが正常な状態でなければ、衝撃に耐えることはできず、膝やふくらはぎを痛める原因にもなります。正常な状態のアーチを「ニュートラルアーチ」と呼びますが、ニュートラルアーチである日本人の割合は約5割です。
つまり、半数以上の人がケガをしやすい状態で動いているのです。
ハイアーチ
足の接地箇所が少なく、土踏まずが高いタイプです。外国人に多い足で日本人の約1〜2割がこちらのタイプです。足の接地面が少ないため、安定性に欠けて足が外に流れる傾向があります(オーバーサピネーション)。
足裏の腱が強く張っている状態が続くアライメントのため、足首などの柔軟性が弱いです。また、足首の背屈・底屈動作の可動域が狭くなることで、脛・膝の前後に負荷がかかりやすくなります。このような人は足の柔軟性が弱いため、柔らかいインソールがおすすめです。
ローアーチ
足の接地箇所が多く、土踏まずが低いタイプです。偏平足をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。日本人に多い足で、日本人の約3〜4割はこちらのタイプになります。
足の接地面が低いため一見安定しそうですが、アーチが低いため衝撃をあまり吸収できません。衝撃を吸収しきれず、足が内側に流れるオーバープロネーションになりやすい傾向があります。
足の柔軟性はあるため、矯正力のある固めのインソールがおすすめです。
足が疲れてくるとどうなる?
練習中や練習後には当然、足が疲れていますよね。そんなとき、足のアーチにはどんな変化が起きているのでしょうか?
走る、打つ、守るなど何千回・何万回とアーチを使用したことによって、アーチがもともとの位置より下がります。アーチが下がることで衝撃吸収の力が弱くなり、足の安定性は悪くなります。
アーチでカバーできなかった衝撃は、直接足の痛みにつながることもあれば、別の部分に拡散して変な癖付けをしてしまう場合もあります。足の裏であれば足底筋膜炎、脛であればシンスプリントが症状の代表例です。
対策方法は様々ありますが、そのひとつとしておすすめしたいものがインソールです。アーチを調整するスパイクは現在でもほとんど発売されていません。なぜならプロの選手もシューズではなく、インソールでアーチや機能の調整を行うからです。
お悩み別!あなたに必要な野球用インソールとは?
インソールと足の構造がわかったところで、実際にあなたが必要としているインソールはどのタイプなのでしょうか?自分が改善したい、パワーアップしたいポイントはありますか?
いま使用しているインソールが破れた代わりが欲しいという方以外は、悩みがあってインソールを試そうとしているはずです。まずは自分がインソールで補強したい部分を分析しましょう。
サイズが合わない
履いているスパイクが大きいためにスパイクの中で足が動く、かかとが浮くなどの症状がみられる方におすすめなのが、サイズ調整シートです。野球専用で出ている商品は極めて少ないですが、とても需要はあります。
特に多いケースは、足の長さは丁度良いのに、横幅が広くきついためワンサイズ大きいスパイクを買うことです。横幅に合わせて購入したため、つま先の方は当然スペースが開いていますよね。
サイズ調整シートは基本的に2パターンあります。1つ目は最初に入っているインソールの下にもう一枚インソールを入れる方法です。インソールをもう一枚入れることでインソールの厚みが増して、つま先にある指が当たる位置が手前になりサイズが調整されます。
2つ目は、もともと入っていたインソールを抜いて、新たなサイズ調整インソールを入れることです。原理としては一緒で、一枚で厚みを出してジャストフィットさせるというインソールです。
なお、サイズ調整は実はインソールだけでなく、つま先にスポンジを入れて行うこともできます。インソールではないので、つま先の部分が蹴り出しのときに違和感が出る可能性はありますが、試してみる価値はありますよ。
足が痛い・矯正したい
足の痛みを分析、考察
足が痛い方はまず、以下を確認しておきましょう。
- どこが痛いのか
- いつから痛いのか
- どの動きの時に痛むのか
- 痛みがなくなる時はあるのか
足が痛むときは、安静にして医師に診てもらうことがセオリーです。医師の正確な診断なしで、素人が判断できません。まずは医療機関に行き、診断を受けてくださいね。その後に治療方針を決めるのはあなたなので、冷静な判断が必要です。
ここで言う「医師」は、レントゲンやCTなどを取れる整形外科の先生などを指します。整体院・接骨院などでは治療(リハビリ)を行うことはできますが、症状の判断はしてくれませんのでご注意ください。
ここで安静にしていれば治るのか、リハビリをする必要があるのか、カラダの別の部分を鍛える必要があるのかを判断するのはとても難しいでしょう。
多くの人はすぐにプレーをすることを望むはずですが、時間をかけて良い人もいるはずです。焦らずに自分の目標を設定してください。
偏平足のインソール選び
この場合、インソールでトラブルを改善する方法は2つです。
- 痛みを短期スパンで考え、機能性の高いものなどで痛みを軽減する。
- 痛みを長期スパンで考え、医療用インソールで悪い癖や痛みの原因を治して完全な復帰を目指す。
この2点を偏平足を具体例に考えてみましょう。
- の場合
- の場合
偏平足は土踏まずがなく、アーチが低いことが特徴です。偏平足は先天性と後天性なものがあるため、一概に親の遺伝が影響しているわけではありません。骨格の位置と筋肉量が大きく影響してくるため、普段から足裏を鍛えている偏平足の方はトラブルが少ないです。
偏平足の方で足が痛い方はアーチが弱いため足の衝撃を吸収しきれず、内側に倒れるオーバープロネーションを起こしやすいため、脛と足裏に負担がかかりやすくなっています。
負担を減らすためには安定性が必要です。そのためにはアーチを支える機能がついたインソールが良いですね。特にアーチの高さを調整できるインソールがより良いでしょう。
アーチをインソールで補強することで衝撃で足が内側に倒れそうになったときに、インソールがその力を支えます。これで過度に足が内側に倒れずに済むので、脛などのストレスも軽減できます。
さらに安定性を高めたければ、かかとのカップと呼ばれる部分がしっかりフィットするものをおすすめします。土踏まずとかかと部分が足にフィットすることで、今までにない安定感で、不安なく最後までプレーすることが可能になるでしょう。
「時間はあるし、偏平足を完全に治したい!」という方におすすめなのが、医療機関で成型するインソールです。足の型を一から取った後に、履くスパイクを持参して専用のインソールを製作します。時間と費用がかかる治療ですが、将来的なことを考えれば安い治療かもしれません。
費用は数万円かかりますが、後に医療費として半額は返ってきます。医療用インソールは足を矯正するものなので、正直のところ固い素材でできています。理由は、固いインソールだと偏平足の癖である内側に倒れる動きを抑制してくれるからです。
しかし、この固さがつらいという方も少なくありません。特にお子さんなどの低い年齢ほど嫌がります。ハードルは高いですが、着実に治していくにはこちらのインソールを履いていくことも必要でしょう。
野球用インソールタイプ別おすすめ10選
サイズ調整
【ミズノ】サイズ調整インソール(野球)
ミズノのサイズ調整インソールはS,M,Lの3種類あり、19cm~29cmまで対応可能です。
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機能性向上
【ミズノ】GCLインソール
「EVAスポンジ」を使用し、グリップ性とクッション性、軽量性をバランスよく備えたインソールです。「アナトミカルラスト」という『ミズノ』独自の足型のため、他メーカーのスパイクに合わないケースがあります。
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【ZETT】GCLインソール
3つの足のアーチを支える構造をしており、主に疲労軽減に役立ちます。『ZETT』は軽量性に定評があり、かかとのカップが立体的でないため他メーカーでも合わせやすいです。
【SIDAS】スパイク3D
『SIDAS』は、スパイクの衝撃を和らげるクッション材を搭載しつつも、通気性を取り入れて長時間使用することを可能にしました。また3D構造によりかかと、土踏まずの部分のフィット感が増しています。
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【Bane BANE INSOLE】アスリートグリップ
『Bane BANE INSOLE』は、プロ野球選手が着用することもあるブランドです。クッション性だけでなく、インソールにスウェード調の加工を施すことでグリップ性を向上させてフィットしやすい商品となっています。
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【SOFSOLE】スパイク
『SOFSOLE』は、数あるインソールの中でも薄型なのが特徴です。その柔らかさとフラットな形状により、足とシューズがよりフィットするように作られています。
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【スーパーフィート】TRIMFIT GREEN トリムフィットグリーン
『スーパーフィート』は、伝統的な製法によって、昔から愛されてきたブランドです。
かかと部分のカップの安定性に定評があり、足へのストレスの悩みは解消されるケースが多いといわれています。また、消臭効果があるコーティング剤が加工されている点も嬉しいポイントです。
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【ソルボ】DSISソルボベースボール
スパイクの蹴りだしにおける足への負担を最大限に軽減させ、かかとに安定感を持たせた『ソルボ』のインソールです。軽量性もありつつ、価格もリーズナブルなので多くの人から支持されています。
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矯正目的
【SOFSOLE】FIT-Ⅱ
インソールの素材は固めに作られており、『SOFSOLE』はアーチの高さ別に選ぶことができます。自分のアーチにあったインソールを選ぶことで偏平足や足底筋膜炎、アキレス腱炎などの予防や治療につながります。
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【ザムスト】Footcraft STANDARD
医療機器メーカーならではの発想で作られた『ザムスト』のインソールです。「ウィンドラス現象」に基づく、理想の状態を適切にサポートするため、3種類のアーチの高さが用意されています。アーチとかかとのフィットにより安定感を高めることで足裏のトラブルを防ぎます。
この他にも、先ほど紹介した医療用インソールや自分の足型を取って作製するインソールも存在します。市販ではなく必ずお店や医療機関に行き、専門家に診てもらうことが必要になりますが、機能性は抜群に高いですよ。
それに伴い値段も高くはなりますが、本気で悩まれている方にはぜひおすすめです。
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野球用インソールの力を侮ってはいけない
インソールはスパイクに一枚の板を入れただけなので、見た目ではっきりと相手から変化が分かる訳ではありません。しかし、着用している本人の足元はきっと喜んでいるはずです。パフォーマンス力の向上・持続や治療の早さも格段にスピードアップされています。
またインソールの最大のメリットは取り外しができ、どの靴にも対応することが可能な点です(靴型で成形されたものなど例外はあります)。
長年、足にあうスパイクが見つからない方も自分に合うインソールを使用することで、世界に1足しかないジャストフィットを味わうことも可能になるかもしれませんよ。
スパイクを変えるのも良いですが、まずはインソールを試してはいかがでしょうか?